大判例

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東京高等裁判所 昭和51年(く)209号 決定

請求人 小林きく美

〔抄 録〕

ところで、いわゆる付審判請求手続によって審判の対象とされ得るものは刑訴法二六二条一項が明示するものに限られるが、請求人が被疑事実として公務員が職務を行うにあたり、職権を濫用し、被害者に対し殺意をもって義務なきことを行わせ、又は行うべき権利を妨害して殺害したと主張している場合であっても、それは殺人罪であるからとして、その罪名に拘束されてこの手続による審判の対象となり得ないものではなく、主張された被疑事実の中に刑訴法二六二条一項所定の犯罪の構成要件が内在しているとき(職権濫用に該る罪が他の罪と観念的競合など科刑上一罪の関係に立つ場合、吸収関係に立つ場合においても)は、右内在部分は審判の対象となり得るものというべく、従って、その範囲では付審判請求手続の対象でもあり得るものと解するのが相当である。してみると、原決定が、本件請求が殺人罪の成立を主張しているからということだけで形式的に刑訴法二六二条一項に該当しないとして、本件請求を棄却した措置は違法といわざるを得ない。以上によれば、本件抗告は、右の限度で結局理由があるから、刑訴法四二六条二項前段により原決定を破棄し、同条項後段により更に裁判する。

(谷口 金子 中野)

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